財務書類って何?
財務書類とは
財務書類とは、企業のある時点での財政状態や一定の期間における経営成績を表すために作成される書類のことをいいます。
財政状態とは、企業にどんな資産や負債がどのくらいあって、その差額である純資産(株主の取り分)がどのくらいあるのかということです。健全な財務体質であれば、資産は負債よりも大きく(純資産がプラスに)なります。赤字など原因で負債が資産より大きくなってしまっている状態のことを債務超過といいます。
経営成績とは、企業が一定期間(通常は一年間)でどれだけ儲かったかということです。そして、儲かった額は利益として、将来の投資のために使われたり(内部留保)、株主に還元(配当)されたりします。一般的に、投資機会の多い成長企業では内部留保の割合が多くなり、投資機会の少ない老舗企業では配当の割合が多くなる傾向があります。
その他の財務書類として、以下のようなものがあります。
・株主資本等変動計算書…利益や配当などで純資産(株主資本)がどう変化したかを示す
・キャッシュフロー計算書…営業活動、投資活動、財務活動ごとに現金等の収支内訳を示す
・注記表…他の財務書類の細かい説明(計算方法など)を示す
「決算書」との違い
財務書類はいわゆる決算書と同じものと理解すればよいですが、以下のように法律によって呼び方が変わります。
・金融商品取引法…財務諸表(連結財務諸表)
・会社法…計算書類(連結計算書類)
ざっくりどれも似たような内容ですが、法律の求めにより多少内容などが異なってきます。例えば、キャッシュフロー計算書は、金融商品取引法の財務諸表には含まれますが、会社法の計算書類には含まれません。
ほかにも銀行や保険会社、学校法人などのように、業界独自で異なるフォーマットの提出が求められることもあります。
ですが、フォーマットによって実態が異なることはないので、これから会計を学ぶ方は金融商品取引法の財務諸表(有価証券報告書の一部)を学習すれば事足りるでしょう。
財務書類の役割
財務書類はさまざまな関係者に利用されます。
例えば、投資者は融資や出資、取引先は信用取引の判断材料とするでしょうし、課税当局は税金計算の根拠として利用するでしょう。規制当局は、保険会社のソルベンシーマージン比率を、銀行の自己資本比率を監督するため目的で財務書類を用いています。
いずれにしても数字という客観的な指標があるからこそ意義があり、財務諸表を読み解くことは、官民・業種を問わず必須のスキルといえるでしょう。
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