(初心者向け)バーゼルⅢ最終化延期 金融機関への影響は?

金融庁がバーゼルⅢ最終化を延期

金融庁は、資本規制 バーゼルⅢの適用時期を2023年3月末から1年間延期することを決定しました。

今回延長の対象となるのは、国内基準行向けの規制に限られ、国際基準行は23年3月適用で変更はありません。

今回は、このバーゼルⅢ適用延期について簡単に解説します。

バーゼルⅢって何?

バーゼルⅢは銀行など金融機関に課される国際基準の資本規制です。

銀行は、貸付金など債権の損失リスクに備えるために、自己資本比率を一定以上に保つよう要請されています。みんながお金を預ける銀行の経営が傾くと、社会や経済に大きな影響を与えてしまうため、特別な要求がされているのです。

通常の事業会社では、自己資本比率は会社の自己資本(資本金や利益の内部留保など)を総資産で除して計算しますが、金融機関では分母の総資産を計算するときにリスクアセット(RWA_Risk Weighted Asset)を考慮する点に特徴があります。

リスクアセットは、リスクウェイトによって自己資本比率の計算に含まれる金額が変わります。

例えば、優良企業の社債などリスクの低い債権は、1億円の社債でも5千万円などで計算されることがあり、バーゼルⅢの自己資本比率が高くなることになります。

反対に、業績の芳しくない企業への貸付金などは、リスクウェイトは100%以上になり実際の債券金額以上の数字で自己資本比率を計算しなくてはなりません。

どんな影響があるのか?

バーゼルⅢでの変更点として、リスクウェイトが一部変更となります。

〇劣後債:100%→150%

〇株式 :100%→250%(段階的に増加)

リスクウェイトが大きい債権は、銀行にとって持ちたくない資産です。特に、株式は250%と大きなリスクウェイトとなりますので、最近では金融機関で政策保有目的株式(持ち合い株式など)を手放す動きも見られます。

バーゼルⅢが予定通り適用されると、業績の悪い企業への劣後債やエクイティでの支援が止まってしまうおそれがあります。

金融庁は規制対応を延期することで、銀行に特に中小企業のエクイティ支援を促す狙いがあったのではないかと思われます。

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