公認会計士試験は実務に役に立つのか?

公認会計士試験は実務に活かせるのか?

公認会計士試験の内容はビジネスの現場にも活きる

結論として、公認会計士試験の受験勉強はビジネスに大いに役立ちます。

公認会計士試験の出題範囲は以下のようになっています。

・財務会計論…簿記や財務諸表理論などを学習

・管理会計論…原価計算や企業の経営意思決定などを学習

・監査論…監査の制度、基準、その他理論について学習

・企業法…会社法、商法、金融商品取引法を学習

・租税法…法人税、所得税、消費税を学習

・選択科目…大半の受験生は「経営学」を選択

詳しい内容は予備校のカリキュラム解説がわかりやすいので、そちらを参照されると良いでしょう(資格の学校TAC_試験科目一覧)。

 

これらは科目は、試験を通じて公認会計士として必要な能力を図るためのものとして設定されていますが、その知見は監査業務でしか発揮されないものではありません。

ビジネスにおける三種の神器は「IT」「英語」「財務」らしいです。そのうちの「財務」について深く学べる公認会計士試験は、一般事業会社のビジネスマンにとっても有用な知識が詰まったカリキュラムとなっています。

では財務の素養を得ることによって、具体的どのようなスキルを伸ばすことができるのか?この点について考察していきたいと思います。

受験知識が仕事に役立つ3選

財務諸表が読める

まず、何といっても財務諸表を理解できることができます。

「そんなの当り前じゃないか!」という指摘が聞こえてきそうですが、これこそが会計を学ぶ目的の一丁目一番地であり、最大のメリットであるといえます。

 

貸借対照表は会社の集大成として、どれだけの利益を積み重ねてきたのか、将来利益につながる試算はどれだけあるのかといったことがわかりますし、損益計算書は会社の通信簿のようなもので、会社が去年一年間で売上や利益をどれだけ挙げたかを一目で把握することができます。

財務諸表を活用することで、例えばメーカーや銀行などは取引先の与信枠を設定していたり、株主はその会社へ投資をするかどうかの判断を行っていたりします。

今や財務部や経理部に限らず、営業部に至るまで財務諸表の知識は必須科目となっています。もはや、ビジネスマンの一般教養としての位置付けになっているといえるでしょう。

数字でビジネスを捉えられる

「数字なき物語も、物語なき数字も意味はない」

元キャノン社長の御手洗富士夫氏の言葉です。

企業の事業活動と財務数値とを結びつけて考えることで、ビジネスをより的確に捉えることができます。財務を理解できない営業マンは、取引先のことを半分しか理解できないとっても過言ではありません。

経営者は複雑な環境で、企業の経営資源をどう動かして利益を上げるかといった意思決定を繰り返しています。そのすべてを、債権者や株主が把握することは不可能に近いです。

代わりに、彼らは財務諸表を読み解くことで経営者の意思決定をトレースすることができます。膨大な経営判断がわずかな資料が凝縮されている財務諸表は、企業分析において不可欠な情報となっています。

複雑で立体的な企業活動を数字で捉えるためのツールとして財務や会計は重要であり、これをビジネスマンが学ぶ意義は非常に大きなものと言えます。

企業の将来を予測できる

会計が大事にしている考え方の一つに、比較可能性というものがあります。

比較可能性とは、同一企業の財務情報が時系列で比較可能なこと、および同一期間における企業間の財務情報が比較可能であることをいいます。

要は財務諸表は、会社の業績が去年と比べて、またはライバル企業と比べて良かったのか悪かったのかがわかるように作られているということです。

例えば売上高を検討する場合、数年間の数値を並べてみることで長期的に会社が成長トレンドにあるのかどうかがわかりますし、ライバル企業と比べることで業界内で競争力を持っているかがわかります。

 

これらの検討を行うことは会社の過去を理解するのみならず、未来の業績を予測することにもつながります。実際、多くの上場企業等は中期経営計画を公表しており、その展望は数字を用いて表現されています。数字を用いて説明することにより、投資家への説得力が増すためです。

当然この知識・能力も公認会計士試験の守備範囲内です。具体的には、財務会計論・管理会計論などの内容が該当します。

会社のアクションプランや事業計画を「結局それはどういう数字に表れてくるのか?」という切り口をもって理解する力はビジネスマンにとってとても有用な力です。この思考を身に付けられている人は意外と多くありませんので、同僚との差別化を図るためにぜひ身に付けておきたいものです。

まとめ

会計士資格は会計エキスパートとしての地位を与えてくれますが、合格前でも学習を継続することによりそのスキルや能力は蓄積されていきます。

結局のところ資格試験は合格することが目的です。しかし、結果が出るまでに長い時間がかかる公認会計士試験においては、勉強内容を実務に活かすというわかりやすい成長実感を得ることがモチベーション維持に大切だったりします。

座学と実務は別物と考えるのではなく、意識的に知識を使っていくことが仕事に勉強を活かすコツです。

試しに思考を切り替えてみてください。その方がきっと勉強も仕事も楽しくなるはずです。

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